毎日様々な講座が開催され、市民の生きがいづくりの場所となっているのが「公民館」。
管理人もこの公民館で16mm映写技師の講座やクラシックギター講座を学びました。
また、管理人は美術の教員免許がありますので、絵画教室や紙漉き体験などの講座を開かせていただいています。
参加者の皆さんは若いころ思うようにできなかったことや、やってみたかったことなどを発見して、時間を忘れて真剣に取り組む姿が見受けられ、生涯学習のよりどころとなっているようです。
一方、各地方には自治公民館・自治会(町内会)などがあり、学校などと連携して地区の行事、防災など取組んでいます。
この記事では公民館と自治公民館・自治会の役割の違いと期待される展望についてまとめてみました。
公民館とは
文科省(社会教育)の管轄
公民館とは最も簡単に言えば、『地域住民が気軽に集まり、知識や技術を学ぶことができる公共のスペース』になります。
公民館は、地域住民に生活に即する教育、学術および文化に関する事業を行い、住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とし、市町村に設けられた社会教育施設のこと。教育基本法や社会教育法などの法律に基づいて設置されています。
公民館の役割
公民館は、地域住民のために社会教育を推進する拠点施設として中心的な役割を果たしています。
公民館は、地域のさまざまな機関や団体の間にネットワークを形成しており、コミュニティ学習センター(CommunityLearning Centre:CLC)のモデルとして世界の注目を集めています。
公民館は日本が世界に誇れる教育施設で、日本独自の伝統芸能や様々な文化・芸術活動が展開・継承されています。
公民館の事業・活動
公民館は、目的達成のために、次のような事業を行っています。
- 定期講座の開設・生涯学習に関する事業
- 討論会、講習会、講演会、実習会、展示会を通し社会教育団体の育成
- 体育、レクリエーションなどの振興
- 各種の団体、機関等の連携・自治公民館への支援や協力
- 避難所としての役割
- 広報の発行
毎年総合文化祭が開催され、互いの発表を通して自ら学ぶ意欲を高め、交流・生きがいづくりにも大きく貢献しています。
公民館で禁止されていること
公民館は、公共の施設ですので、営利を目的として事業に関わることが禁止されています。
また特定の政党・候補者、特定の宗教・宗派に関わることを行ってもいけません。(社会教育法第23条第1項・2項)
公民館の別な呼び名
より多くの人々が施設で交流を深めるために、公民館を「生涯学習センター」「交流館」と呼び名を変えている市町村もあります。
公民館の運営と費用
管理運営
・市町村教育委員会
職 員
・市町村教育委員会職員
経費
・市町村の予算
自治公民館とは
文科省(社会教育)の管轄
一方自治公民館とは住民たちがお金を出し合ったり、市町村の補助により、集落ごとに公民館に似た機能を持つ施設を設置・運営するものになります。
全国公民館連合会が2002(平成14)年に実施した調査によると、全国で約7万の自治公民館の設置が報告されています。
施設がなく、青空公民館として活動している自治公民館もあります。
自治公民館の運営をまとめると
- 各地域の自主的な組織団体
- 施設は主に各地区で管理・運営
(総会、役員会、町内会など) - 自治公民館長が責任者。専任職員はなし
- 経費は会費により住民から徴収する。
自治公民館館長には年間幾ばくかの手当(が自治公民館連絡協議会から支払われる。
自治公民館の活動と事業
- 各自治公民館の連携に努め、機能を高め合う。
- 生涯学習の拠点として、住民や各団体への貸し出し、地域住民の活動の推進。
- 防災活動、避難訓練を通して、安心安全な地域防災を目指す。
- 公民館活動を通して、地域の融和と青少年の健全育成に努める。
- 清掃活動、花壇整備、ゴミ集積所管理など、きれいで住みよい地域づくりをめざす。
- 敬老会、運動会、祭りなどを通して、仲良く助け合える地域をめざす。
- 明るく正しい選挙の推進。
自治会(町内会)とは
もう一つ間違えやすいのが「自治会」という組織があり、全国に30万存在する。
自治会は区・組で構成され、隣近所同士の冠婚葬祭に始まり、地域住民の助け合いなど結いの精神から生まれた任意の組織ですので、加入の義務はありません。
自治会の起源
太平洋戦争の戦時下に大政翼賛会の最末端組織として1940年に市には「町内会」、町村には「部落会」が国によって整備されたのが起源であるとされる。
ポツダム宣言が公布され、「町内会」、「部落会」の結成が禁止されましたが、サンフランシスコ条約により、現在の組織に再編成されました。
法的には行政と無関係となっていますが、実際は区長会など定期的に行政が開いています。
大化の改新における「五人組隣保制度」にも由来しているらしいのですが、私の住む地域では未だに「○○組合」という隣保班に分かれており、毎月会合(近況報告・飲み会)が行われています。
自治会の役割
自治会の区長・組長は行政とのパイプ役「行政推進員」として活動・協力します。
回覧板や書類の配布、赤十字・助け合い・緑の募金の徴収など。
自治会の経費
区費として住民から徴収する。
各地区の消防団が所属しており、消防防災費も区費に加算される。
自治会の課題
祭りだけでなく、ゴミの管理や防犯など地域でさまざまな役割を担ってきた自治会・町内会ですが、近年若者層の加入率が下がり続け、各地でその存続が危ぶまれています。
おわりに
中央には公民館、各地区には自治公民館、自治会があり、それぞれの目的と役割をまとめて比較してみましたが、その違いがお分かりになったでしょうか?
知恵袋などをのぞいてみると、自治会や自治公民館活動があたかも役人の都合により、作らされた半強制団体かのように書かれている方もいらっしゃるようです。
確かにその昔は5人組や村はじきなどお上に歯向かえないような仕組みであったかも知れませんが、そのおかげで戦中・戦後や飢饉の折など結いの精神で支え合い、助け合って生きてこれたのもこの仕組みがあったからこそだと思います。
この自治会の仕組みで一番力を発揮するのが、冠婚葬祭の時だと思います。
しかしながら、近年この冠婚葬祭も簡略化され、組合、区、自治会の仕組みに重きを感じない方が増えてきたのも事実のようです。
長年続けてきた「十五夜まつり」や「郷土芸能」「郷土料理」「しめ縄づくりなどのわら細工」など次の世代に伝えていきたい行事や文化・伝統はたくさんあります。
インターネット・スマホ全盛の時代、ポケモンGoに群がり一喜一憂し、コミュニケーション能力と世代間交流がどんどん失われていくような気がしてなりません。
今こそ地方創生です。豊かな地方の人・もの・自然の宝物を掘り起し、交流を通して新たな人づくり、モノづくりを展開して公民館、自治公民館、自治会の連携・ネットワークを構築していくことで、地方がもっともっと元気に、魅力ある場所に変化するはずです。
行政からやらされているのではなく、自分たちで学び合い、様々な課題を乗り越え、新たな価値を創りだすことが人として成長していく当たり前の姿であると信じて止みません。