FRPは型を作れば、どのような形も成形することができるので、とっても便利な材料ですが、実際は体力も要りますし、固まる時の臭いやガラス繊維が体に着いたりと結構過酷な作業になります。

今日は、我が工房のマスト仕事であるFRP造形の中から「FRPで作る自作マスクの製作工程」をまとめてみました。

車やバイクのカウル・ボート・人形・マスク・オブジェなど、これから自分でFRPで何かを作ろうという方はヒントになれば幸いです。

今から10年くらい前でしょうか、FRP製のかぶりもの製作で東京は浅草のお菓子屋さんからの依頼で麻生首相(当時)、地元響座さんより、東国原元宮崎県知事の2種類、3個ずつ作りました。 

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こちらは東国原元宮崎県知事
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平面の似顔絵から立体にするのだけでもかなり難しく、実際の頭の倍くらいあるので、目の位置と見るところが異なります。
設計図がないものを手探りで作っていくので時間もかかりましたが、麻生首相、東国原とちょうど同じ頃ブームでしたので、両方のクライアントさんも喜んでおられました。

必要な材料と道具

材料:成形

  • 土粘土(油粘土でもOK)
  • 芯材(木材に荒縄を巻く)
  • 石膏 FRP樹脂 硬化剤(冬場は促進剤も要)
  • ガラス繊維
  • タンカル(増量・厚みをつけるため)
  • ヘルメット

材料:着色

・ボディーパテ、ウレタン塗料&硬化剤
・アセトン:筆洗い用
・塗料

道具

  • 石膏を混ぜるボール(ラバーボウルがあると良い)
  • ヘラ(ステーキ用ナイフでもOK)
  • スタッフ:石膏に強度を持たせる
  • 針金(12番線が曲げやすい)
  • ペンチ2本:針金を形に合わせて曲げる
  • カッター大 ノミ、木槌
  • 塗装道具(研磨機、コンプレッサー、スプレーガン)

FRP加工方法の手順

粘土成形の完成
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写真がありませんが、木材で芯材をしっかりと固定して、粗ヒモを巻き、粘土が落ちないように叩いて顔の形を成形します。
実寸のイラストを計りながら、いろんな角度から不自然ではないか確認します。

シリコン型取り方法

今回は同じものを3個作りますので、シリコン型を作ります。(1個の場合、石膏型でOK、型は崩れてなくなります。シリコンを使うと10個から20個同じ型で量産できます。)

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倒して、耳のところで半割りにしてシリコンが流れ落ちないように土手を作ります。この時、ずれないように数箇所凸凹を作っておくと型のズレを防ぐことができます。

シリコン流し込みの方法

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空気が入らないように、第一層目はできるだけ均一に表面を覆います。

ガーゼとシリコンを積層

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一層目が乾かないうちにガーゼとシリコンを積層して強度を付けます。空気の層ができないようにガーゼをまんべんなく敷き詰めます。

石膏取りの方法

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シリコンが固まったら、針金を要所要所に入れて石膏で固めます。厚みは1cmまでできるだけ均一にすると無駄がありません。

こちらは東さんのシリコンの層

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これも同じく針金で骨を作りながら石膏の層を作り、型にします。

石膏型の完成

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この内側にシリコンの層が入ります。
量産しない場合には、離型剤を塗ってFRP積層に入ります。

離型剤は「カリ石鹸」「液体せっけん」色々試しましたが、
リンレイ 油性ワックス刷毛塗りがベストです。
ただし、油分が強いので、色塗りの際は研磨したり、下地材(ミッチャクロンマルチ)などしっかり塗らないと塗装が剥離してしまいます。

リンレイ 油性ワックス ブルー液状 1L

FRP積層方法

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まず、FRP樹脂にタルクをよく混ぜ、硬化剤と少量の促進剤を入れたものを
シリコン型の表面に刷毛で塗り広げます。
タンカルは厚みを出すために使用します。
以前はタンカルとタルクと混同して注文、使用していましたが、タルクはべたつきがあり、使いにくい印象です。

ポリエチレン樹脂はインパラフィンが積層向きです。(表面がベタベタしない)いつも使っている最安の会社です。

炭酸カルシウム(タンカル)はこちら→タルクの方がいい(用途による)

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タンカルはダマにならないように気泡を出し尽くします。その後硬化剤を入れてください。

FRPは温度により、すぐ硬化しますので、刷毛はアセトンの液で洗いながら、作業を続けます。
※冬場はなかなか固まらないので、促進剤を入れた方が硬化が早まります。作業効率が上がります。
夏でも促進剤を少し入れると硬化が早まります。

2層目はタンカル入のFRP樹脂を塗り、ガラス繊維を敷き詰めながら、FRP樹脂のみを染みこませていきます。均一に5mmくらいの厚みができれば、OK、両方の型をそれぞれ丁寧に積層したら、型の合体です。

つなぎ目にタンカル入のFRP樹脂を塗り、お互いの型がずれないように針金でしばり、更にジョイント部をガラス繊維で固定します。

研磨の注意点
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型から外し、柔いうちにカッターでバリを取ります。あとは表面の凸凹にボディパテをあてたり、研磨機で磨いたりします。
研磨機がない場合は耐水ペーパーでひたすら磨きます。

塗装方法
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ヘルメットをビスで固定して、空気穴や目の穴などを開け、定着剤を塗り、ウレタン塗装で仕上げます。

明るい色から塗り、最後に髪の毛、目や口に筆を入れます。この線で表情が変わるので集中します。 麻生さんのFRPマスク出来上がり!
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おわりに

DIYでFRPの加工するのは繊細かつ体力のいる作業になります。

FRP樹脂が固まる直前に有毒なガスを発生させるので、吸わないように必ず防毒マスクを使用してください。

防毒マスクはホームセンターでも売っています。シゲマツが有名。詰め替え用もあり。

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マスクをしても、気分が悪くなったり、頭が痛くなる場合があります。 FRPの磨きはコンプレッサーの研磨機で行いましたが、ベルトサンダーや手作業でもOKだと思います。納得がいくまで磨くという根気が必要になります。

また、塗装時もウレタン塗装はニオイがきつく、体にもよくないので、防毒マスクを使用してください。

また、研磨時にはガラス繊維が体中に入り込みます。
後で、かゆみの原因となりますので、洗濯物は家族のものと分けて洗いましょう!できるだけ作業時はツルツルした材質の服を着ることをおすすめします!

バイクのカウルや、自動車のパーツなどFRP成形は自作オリジナルの追求という楽しい作業になると思います。

苦労しただけ、付加価値が出てくるFRP加工、ぜひDIYでお試しください。私のようにお面や人形作りも楽しいですよ。 最後にご近所に迷惑のかからないところで行ってください。臭や削る音などトラブルの元とならないように!

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