この記事は西郷どんも食べたであろう鹿児島・宮崎南部地方の郷土料理「あくまき」について「あくまきの作り方」「おいしい食べ方」など見聞を広げてみようと思います。

あくまきは元々、薩摩藩が関ヶ原や朝鮮出兵の際に日持ちする兵糧として作っていたもので、おそらく島津斉彬や西郷隆盛、大久保利通らも口にしていたと思われます。

関ヶ原と言うと、敵中突破し全国にその名を知られた薩摩藩17当主の島津義弘公の時代。

義弘公は豊臣秀吉の命で2度も朝鮮出兵に赴き、大勝利をもたらしています。

遠い敵地の過酷な環境の下で、朝鮮の水軍を撃破、勝利をもたらしたその原動力はひょっとするとこの「あくまき」にあったのではないでしょうか。

西南戦争で敗走するも、巨体の西郷隆盛を故郷の鹿児島、城山まで帰還させたのも、あくまきの力ではなかったかと勝手に想像してしまいます。

現在あくまきは輸送手段の発達により、全国的にも通販が可能となり、スイーツとしても有名になってきています。

あくまきとは料理・スイーツ?

あくまきは端午の節句に鹿児島、宮崎、熊本で作られる郷土料理、ところによっては和菓子になります。

あくまきは「灰汁巻き」と書き、名前のとおり、あく汁竹の皮に包んだもち米を煮ます。

鹿児島に近いこの地域でも5月の季節料理となっており、我が家では房子ばあちゃんを筆頭に毎年5月の連休にあくまきを作ります。

毎年、広島の姉夫婦に田舎のお菓子、米と一緒にあくまきを送るのが恒例となっています。

醤油で食べれば、おかずになるし、きな粉砂糖をまぶせばスイーツと食べ方によっては料理ともお菓子とも言えるでしょう。

房子ばあちゃんの山の生活は孫に受け継がれていきます。

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娘は高校生。もう一人前に見えますが、アクの分量やら、茹で加減など、まだまだわからないことばかりです。

あくまきの作り方

房子ばあちゃんが作る郷土料理レシピ「あくまきの作り方」と「おいしい食べ方」を動画にまとめましたので、参考にしてください。

あくまきの作り方伝授。ばあちゃんから孫へ

あく汁にもち米を浸す

前日にあくの液にもち米を一晩浸しておきます。

竹の皮を洗う

竹の皮洗い

あくまきを包む竹の皮は今年落ちたばかりの皮を拾い、乾燥し保存しておきます。
朝に竹の皮の表面、裏をたわしで洗っておきます。

たけの皮を割いてヒモにする

小さいものや、破れた竹の皮を細かく割いて縛るヒモにします。

もち米をザルにあげる

灰汁入りもち米

灰汁入りもち米
灰汁に浸かったもち米をザルにあげ水気を取ります。

たけの皮にもち米を詰める

もち米を入れる

竹の皮の両端をハサミで切り、その中にアクに浸かったもち米を適量入れます。

入れすぎると煮た時に膨張して破れてしまうので入れる量を注意します。

たけの皮で縛る

あくまき

両端を折りたたんで、割いた竹の皮で3箇所縛ります。

縛り方
縛り方のコツを入念に習う娘

縛り終わり

あく汁の大釜で煮る

あく汁で煮る

あく汁の入った大釜の中に投入して、3時間くらい煮ます。
煮る
強火でがんがん煮ます。

ひっくり返す
ひっくり返してまんべんなく煮ます。

かまどの火

時折かまどの火を調節します。

炊き上がり

一つ取り出して、炊き上がりをチェックし、米が透き通って粒が無くなっていたら完成。

炊き上がり

あくまきの食べ方

あくまききな粉

あくまきを切るには包丁ではなく、竹の皮を割いたヒモか、タコ糸の方が良く切れます。

包丁では粘りが強くて、よく切れないのです。(ちなみに粘りが強い焼き物の粘土も細い針金で簡単に切れます。)

食べ方は「きな粉砂糖」をまぶして食べるか、シンプルに醤油につけて食べるのが南九州では通常です。

私はもっぱら「きな粉&砂糖」オンリーです。砂糖のジョリジョリとした食感ときな粉の香ばしさがアクの効いたぷるぷるのもち米とよく合います。

あくまきの保存の方法

あくまきは作って3、4日から一週間でしたら、常温で保存ができます。

冷蔵庫では数週間持ちますが、固くなります。

竹の皮を剥いで、タコ糸で輪切りにして、硬いようでしたらレンジでチンしてもいいでしょう。

竹の皮のままラップかジップロックに包んで冷凍すると1年は持ちます。解凍は自然解凍で。

おわりに

以上、今日は鹿児島・宮崎南部地方に伝わる郷土料理「あくまき」の作り方・食べ方・保存方法についてお伝えしました。

郷土の伝統料理の「あくまき」ですが、店で売られることが多くなり、手間がかかるので、次第に家で作ることがなくなってきました。

先祖が脈々と伝えてきた「あくまき」、作り方も合わせて残したい郷土の料理の一品です。

あくまきの他、ばあちゃんと孫との共同作業は「お茶摘」、「栗の皮むき」、「たけのこ採り」などがあります。

山の生活には、「春の山菜:わらび・ゼンマイ採り」「こんにゃく作り」「猪汁作り」などがあって、レシピなどまだまだ全てを習得していません。

ばあちゃんが元気なうちにいろいろと郷土料理、山の仕事や農家のノウハウを受け継いで、山の生活を次の世代に伝えて欲しいと思います。