色の作り方・塗り方が苦手という方の原因の一つに学校で「描いた絵の評価が低かった」「描き方を教わっていない」という苦い経験があるのかもしれませんね。
「絵具の色の作り方・塗り方の悩み」が解消されれば、思い通りの色を作ることができ、更に絵を描くことが楽しくてしょうがなくなるでしょうね。
最初はイメージ通りの色ができなくても、新しい色の発見=個性につながります。
失敗を恐れず、絵筆を取ってどんどん絵を描いてみましょう!
この記事は
中学校1級と高校2級の教諭の免許を持ち、中学校・高校の美術の非常勤講師を務めてきた筆者が
色作りの基本とパレットの中だけでなく紙やキャンバスの上での混色についても解説いたします。
どうぞ最後までお読みください。
家のすぐ近くの滝を水彩で描いてみました。
風景画のポイントは「絵具箱の緑」をいかに自然な「みどり」にするか
答えは、黄・茶色系の色で彩度を少し落とします。
あとは光と影の色が上手く作れればOKです。
陰の色は、明るい部分の色+青色とほんの少しの黒を入れると、陰っぽくなります。
(下記に詳細があります)
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色作りのコツ
色相環と色の三原色(赤・緑・青)
色相環とは図工や美術の教科書に載っていた「色の輪っか」のことですね。
この色相環の中に有名な「色の三原色」があります。
色の三原色とは赤、青、緑の3色のことで、赤から右回りに行くと、赤 ⇒ 橙色 ⇒ オレンジ ⇒ 黄色 ⇒ きみどり ⇒ みどり ⇒ 青緑 ⇒ 青 ⇒ 青紫 ⇒ 赤紫 ⇒ 赤と一周する色の輪になります。
本来はこの原色の間には無数の微妙な色が並んでいます。
更に、それぞれの色の明度(明るさ)や彩度(鮮やかさ)を微妙に変えることで、無限に色を作ることができるのです。
この色の移り変わりを大まかに覚えていればあとはかけ合わせ=応用になります。
混色早見カードを見ればいいじゃん?
混色早見カードなどもありますが、カードに頼っていてはいつまでも覚えることができません。
失敗を恐れずにどんどん混色して感覚で覚えていくのが上達の早道です。
いつも使わない新しい色ができるとワクワクしてきますよ!
補色も効果的に使う
ちなみに色相環の反対側の色同士を混ぜ合わせると、すべてグレーとなり、彩度が無くなってしまいます。
この反対側の色同士を補色と言います。
補色は色の面積の割合を変えたり、彩度を落としたりして、上手く使えば効果的に目立たせることもできます。
ファッションやポスター・チラシなどデザインの世界でも補色の効果を応用しているんですね。
色の作り方・混色の仕方
色の横に2と書いているのは絵の具の量が2倍の意味です。
1倍の1は省略しています。
茶色の作り方:茶色・こげ茶色・赤茶色
茶色は赤と緑の絵の具を1:1に混ぜ合わせて作ります。
緑がない場合は緑=青+黄色で代用してください。
- 茶色=赤+緑(青+黄色) 緑は「青+黄色」
- こげ茶=黒+茶色
- 赤茶色=赤2+黒
肌色の作り方:肌色・クリーム色・黄土色
肌色とはどの人種の色でしょうか、人によっても肌の色は違いますよね。一般的な日本人の肌のイメージの総称と仮定します。
- 肌色=オレンジ(黄色+赤)+白2
- クリーム色=黄色+白
- 黄土色=黄色2+黒
肌色はペールオレンジとも言います。
ベージュ色は肌色・アイボリー・クリーム色に近い色ですが、極めて薄い黄色~茶色になります。
もともと染めていない毛織物のことをベージュと言っていたようです。
作り方はベージュ色=白3+黄色1+黒0.1くらいでしょうか。
オレンジの作り方・朱色の作り方
- オレンジ=黄色+赤
- 朱色=黄色+赤2
ピンクの作り方:ピンク・薄ピンク・濃いピンク
- ピンク=赤+白
- うすピンク=赤+白2
- 濃いピンク=赤2+白
水色(みずいろ)の作り方・ターコイズブルーの作り方
みずいろは青と白を1:1に混ぜます。
青は最初からマリンブルーとコバルトブルー、プルシャンブルーなどが入っている絵の具がありますので、それぞれの色で色味が微妙に変わります。
みずいろはコバルトブルー+白がいいでしょう。
- みずいろ=青+白
- ターコイズブルー=青2+黄色
紺色の作り方・深緑の作り方
- 紺色=青2+黒
- 深緑=緑2+黒
緑の作り方:緑・黄緑(きみどり)
- 緑=青+黄色
- きみどり=青+黄色2
紫の作り方:紫・赤紫・青紫
- 紫=赤+青
- 赤紫=赤2+青
- 青紫=赤+青2
紙・キャンバスの上で混色する(したように見える)方法
絵の中で視覚的に混ざり合って独特の色合いや、グラデーションが表現できます。
例えば、ゴッホの油絵「ひまわり」や「糸杉」の絵のようにキャンバス上にいろいろな色の点や線を散りばめることで、うねりや躍動感、情熱、神秘性などを出すことができるんですね。
水彩画では、一度塗って乾いた後に違う色を塗ると下と上の色が半々に混ざって見える「透明水彩」の効果も出せます。
油絵と異なり、水彩画特有のみずみずしさが表現できるんですね。
ドライブラッシングで色を塗り重ねる
乾いた絵の具の上に違う色を重ね塗りすると、一色で塗った時より深みや重さ、材質感が出せます。
透明水彩と不透明水彩、混色の違い
また、パレット内で混色する方法と紙の上で乾いたあとに重ねてその透明感を出す技法があり、より熟練が必要となります。
水彩絵の具とアクリル絵の具の違い
透明水彩絵の具は一旦塗ったところに違う色を塗る場合、時間をかけすぎると下の塗料を溶かして混ざりあい、濁ってしまいます。
アクリル絵の具は、乾いたら耐水になるので、下の色と混ざることはありません。
パレットの上ですぐに固まりますので、注意が必要です。
固まらないうちに筆やパレットの手入れをしましょう。
アクリル絵の具は油絵と同じで上からいくらでも重ね塗りができますので、初心者でも安心してストレスなく描くことができると思います。
植物や山の自然な緑色の作り方
庭の植物や近くの山などは、絵の具の緑色(ビリジアンやパーマネントグリーンなど)をそのまま塗ると彩度が高すぎてそこだけ浮いてしまうことがあります。
緑色に黄色や黄土色や茶色を少し混ぜると、彩度が落ち着き自然な風合いになると思います。
日光が当たるところはきみどり、陰の部分には深緑にするなど、1本の木でも光と陰を意識すると単調にならないでしょう。
一番近い木は鮮やかな緑、その後ろの近い山は緑に少し水色を入れる。
遠くの山にはもっと水色を入れていくと、奥行きのある風景になります。
立体感や奥行きを色で出すコツ
一枚の紙の上で、モノの立体感や奥行を出すには絵の具の色の作り方次第になります。
手前のモノは鮮やかに、そして明暗のコントラストがはっきりと出るように色を作ります。
反対に明暗と彩度のコントラストの差がなくなると、自然に奥に引っ込んで見えます。
これは遠くに行くほど空気の層が増えてモノが薄く見える「空気遠近法」という技法になります。
この場合、緑に白や青を徐々に入れたり、緑と反対の色、赤を少しずつ入れることにより、彩度を落として遠くに追いやることができます。
絵の具の色の作り方のまとめ
以上、今回は思い通りの色を作るために「絵の具の色の作り方の基本」や「透明水彩と不透明水彩、混色の違い」についてお伝えしました。
透明水彩でも、不透明水彩でも納得がいくまで色を重ねてみてください。(いろんなグレーができるでしょう。)
前述したように、あまり混ぜすぎると彩度が失われてきますが、それを味にしてもいいのです。。
絵画は数学と違い、正解は個性の数だけあると思います。
同じような上手い構図、色、形の絵ができ上がったとしても、傑作とは言えません。
必要最小限の表現手段として基本の「色の作り方」を頭に入れておく必要がありますが、あまり頭でっかちにならないよう、気楽に、失敗もしながら楽しく長く続けてもらいたいと思います。
古代人も生活の様子を壁画などの絵として残しています。