認知症 塗り絵

多くの高齢者の方が気にかけている症状の1つが「認知症」です。

厚生労働省の平成24年(2012年)の資料(※)によると、国内における65歳以上の認知症の患者数は462万人ほどで、およそ7人に1人(有病率15%)と推定しています。

また、2025年には認知症の患者が700万人(およそ5人に1人)を超えるという予想も発表しています。

高齢者の方の「物忘れが多いので不安」「認知症の予防は何が良いか」という声に対し、今回は趣味として気軽に楽しめる認知症予防、その中でも「脳トレ」に絞ってお伝えします。

この記事を参考に、ぜひご自分に合った認知症予防の趣味を見つけてくださいね。

※ 厚生労働省 認知症施策の現状について

認知症予防に脳トレの趣味が良い理由

東北大学 加齢医学研究所の研究で、簡単な計算問題音読、他人とコミュニケーションを行なう時には脳の血流が良くなり、活性化することが判明しています。

「作動記憶」という記憶力に関する機能をトレーニングすると、頭で多くの情報を処理して物事に対処しやすくなるだけでなく、学習能力が高まる効果もあります。

そのため、簡単な計算や文字の読み書き、他人との交流などを無理のない範囲で続けることが脳トレになり、認知症予防に繋がると考えられています。

認知症予防におすすめ!パズルの趣味

それでは、認知症予防に効果がある脳トレの趣味を順に見て行きましょう。

初めは、どなたでも手軽に取り組めるパズルの趣味を3種類ご紹介します。

世代を超えてジグソーパズルを

子供の頃から親しみのあるジグソーパズルは、認知症予防に効果的な趣味の1つです。

パズルの作業する時、脳内は色や形の判別記憶力や空間を把握する力など様々に活動しています。

ジグソーパズルは一人でもできますし、ご家族やお孫さんがいる方は、世代を超えて楽しみながらパズルに挑戦してはいかがでしょう。

クロスワードパズルは日本語と英語で

言葉を操るクロスワードパズルは、イギリスの研究チームの調査によって脳を活性化させる効果があることがわかっています。

ひらがなや漢字のクロスワードを解いて、新聞や雑誌に応募する楽しみもありますね。

ワンランクアップしたい方には、英語のクロスワードを趣味としておすすめします。

認知症 クロスワード

数字に関するパズルでボケるのを防止

数字のパズルは「数独(すうどく)」または「ナンバープレース(ナンプレ)」と呼ばれるものが有名ですが、その他にもたくさんの数字のパズルがあります。

かつて、切符に印字された4つの数字を用いて「10」を作るゲームが流行りました。

これも立派な脳トレになるので、認知症予防の趣味としておすすめですよ。

対戦するゲームの趣味も認知症予防になる

先述したように、他人とのコミュニケーションは脳が活性化し認知症予防に役立ちます。

仲間と楽しみながら、ゲームの趣味で脳トレを行なってはいかがでしょうか。

ボードゲームを気軽に楽しもう

デジタル化された生活の中で、アナログのゲームの楽しさが改めて注目されています。

誰でも1度は経験しているオセロダイヤモンドゲームすごろくなどのボードゲームは気軽に取り掛かれますね。

世代を超えて遊べる趣味のため、ぜひご家族や仲間と一緒に楽しみましょう。

囲碁や将棋は最高の脳トレになる

脳内の情報検索をする「前頭葉」が衰えると、物忘れが増え注意力も落ちると言われます。

相手の行動を読み、次の手を考える囲碁や将棋は、積極的に前頭葉に働きかけることから医療現場でも実際に利用されています。

ルールをご存知の方もこれから覚えたい方も、囲碁や将棋を趣味にして認知症予防に活用しましょう。

人で対戦!麻雀もおすすめの趣味

諏訪東京理科大学 共通教育センターの研究によると、麻雀をする脳内は「言語野」やご紹介した「作動記憶」を行なう部位が活性化することがわかっています。

複雑に考える時や、相手がリーチになった時はより活性化しているそうですよ。

頭を使って対戦する麻雀は、認知症予防に大変役立つ趣味としておすすめです。

認知症予防の趣味として読み書き計算を

認知症予防に役立つ読み書き計算は、身近な物を利用し趣味として楽しんでみましょう。

音読は脳の活性化に効果的

先の東北大学 加齢医学研究所の研究では、認知症と診断された人に週5日、1日10分の音読を6ヶ月続けてもらったところ、脳の機能の明確な改善が認められました。

文章を見て認識し、声に出して表現する音読は脳を活性化させるのに良い方法です。

新聞の音読お孫さんへの読み聞かせなど、毎日続けたい趣味としておすすめですよ。

日記や漢字の勉強で文字・手紙を書く

アメリカの修道女を対象にした「ナン・スタディ(Nun Study)」という認知症の研究では、若い頃に勉強をして文章能力が高い人ほど認知機能の低下が少ないと報告されています。

デジタル化が進む現代では「文字を書く」行為が激減しましたが、日記や手紙で思いをまとめる漢字の練習で形を考えるなど、認知症予防として積極的に文字を書きましょう。

簡単な計算で毎日トレーニング

上記の音読の研究では計算問題も平行して行なわれており、同様の結果を得ています。

ドリルなどを買わなくても、レシートを使ったり自分で数字を書いたりお孫さんの宿題を見てあげたり、という方法でOKですよ。

計算をノートに書き溜めておくと、「これだけやった!」という達成感も味わえます。

一人でもできる「美術・工芸の趣味」も認知症予防におすすめ

最後に、認知症予防になる芸術の趣味もご紹介しましょう。

絵画や創作は「芸術療法」とも呼ばれ、1940年代からイギリスで取り入れられたのが始まりと言われています。

水彩画や塗り絵・切り絵も脳トレになる

自分の好きな風景や静物を題材に、絵を描いたり色を塗ったりするプロセス「絵画療法」として高齢者施設でも取り入れられ、数々の研究も行なわれています。

「色がきれい」「これはどうやるの」「楽しかった」「次は何を描こう」などの肯定的な考えが増えるので、認知症予防の趣味としてぴったりですね。

認知症 塗り絵

前述したパズルと塗り絵を組み合わせたパズル塗り絵です。他にもディズニーや動物ものなどいろいろあります。

こちらは趣味の切り絵の初心者向けのキットです。

切り絵は作業が細かいので、集中力と手先の力具合などコントロールする力を養います。

与えられた課題をクリアーし、行く行くは自分の描きたいオリジナルの切り絵ができると素晴らしいでしょうね。

【匠テラス】切り絵スターターキット

折り紙や粘土で創作する趣味活動

折り紙や粘土など工芸の趣味も同様で、触って形を感じ取る作業も脳に刺激を与えます。

「ここが大変だった」「工夫したところ」など工程中の作業を振り返り、話し合ったり日記に感想を書くこともポイントですよ。

また、他人の作品をほめたり、批評することは自分本位になりがちになったり、視野が狭くなることを防ぎます。

物を作ったり、鑑賞するなど、芸術の趣味も楽しみながら脳トレ・認知症予防ができると考えられます。

おわりに

今回は、認知症の予防の中でも趣味で楽しく続けられる脳トレをご紹介しました。

パズルやゲーム、読み書き計算、芸術と幅広い趣味の中で気になるものはあったでしょうか。

これらの脳トレの趣味は、軽度の認知症であれば改善が認められているものもあります。

認知症予防の気軽な趣味として、ぜひご家族や仲間と一緒にお楽しみくださいね。

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※記事作成にあたり参考にしたサイト

加齢医学研究所
https://www.kumon-lt.co.jp/a_riron_to_koka

イギリスの研究
https://www.j-cast.com/2017/07/30304497.html?p=all

諏訪東京理科大
https://goo.gl/FR72

ナン・スタディ(Nun Study)
https://www.nounow.jp/interaction/4832/